福祉用具貸与費
指定福祉用具貸与事業所(指定居宅サービス基準第194 条第 1項に規定する指定福祉用具貸与事業所をいう。以下同じ)において,指定福祉用具貸与(指定居宅サービス基準第 193条に規定する指定福祉用具貸与をいう。以下同じ)を行った場合に,現に指定福祉用具貸与に要した費用の額を当該指定福祉用具貸与事業所の所在地に適用される 1 単位の単価で除して得た単位数(1単位未満の端数があるときは,これを四捨五入して得た単位数)とする。ただし, 1月当たりの平均貸与件数が100件以上となったことのある福祉用具に係る指定福祉用具貸与については,別に厚生労働大臣が定める福祉用具貸与の基準(※告示80)を満たさない指定福祉用具貸与を行った場合は,福祉用具貸与費は算定しない。
〔算定の原則及び特別地域加算〕
注 1 搬出入に要する費用は,現に指定福祉用具貸与に要した費用に含まれるものとし,個別には評価しない。ただし,指定福祉用具貸与事業所が別に厚生労働大臣が定める地域(※告示120)に所在する場合にあっては,当該指定福祉用具貸与の開始日の属する月に,当該指定福祉用具貸与事業者(指定居宅サービス基準第194条第 1項に規定する指定福祉用具貸与事業者をいう。以下同じ)の通常の事業の実施地域(指定居宅サービス基準第200条第5号に規定する通常の事業の実施地域をいう。以下同じ)において指定福祉用具貸与を行う場合に要する交通費(当該指定福祉用具貸与に係る福祉用具の往復の運搬に要する経費及び当該福祉用具の調整等を行う当該指定福祉用具貸与事業者の専門相談員1名の往復の交通費を合算したものをいう。以下同じ)に相当する額を当該指定福祉用具貸与事業所の所在地に適用される 1単位の単価で除して得た単位数を,個々の福祉用具ごとに当該指定福祉用具貸与に係る福祉用具貸与費の 100分の100に相当する額を限度として所定単位数に加算する。
〔中山間地域等小規模事業所加算〕
2 別に厚生労働大臣が定める地域(※告示83・ 1)に所在し,かつ,別に厚生労働大臣が定める施設基準(※告示96・ 25)に適合する指定福祉用具貸与事業所の場合にあっては,当該指定福祉用具貸与の開始日の属する月に,当該指定福祉用具貸与事業者の通常の事業の実施地域において指定福祉用具貸与を行う場合に要する交通費に相当する額の 3分の 2に相当する額を当該指定福祉用具貸与事業所の所在地に適用される 1 単位の単価で除して得た単位数を,個々の福祉用具ごとに当該指定福祉用具貸与に係る福祉用具貸与費の 3分の 2に相当する額を限度として所定単位数に加算する。
〔中山間地域等居住者サービス提供加算〕
3 別に厚生労働大臣が定める地域(※告示83・ 2)に居住している利用者に対して,通常の事業の実施地域を越えて指定福祉用具貸与を行う場合は,当該指定福祉用具貸与の開始日の属する月に,当該指定福祉用具貸与事業者の通常の事業の実施地域において指定福祉用具貸与を行う場合に要する交通費に相当する額の 3分の 1に相当する額を当該指定福祉用具貸与事業所の所在地に適用される 1単位の単価で除して得た単位数を,個々の福祉用具ごとに当該指定福祉用具貸与に係る福祉用具貸与費の3分の 1に相当する額を限度として所定単位数に加算する。
〔算定制限〕
4 要介護状態区分が要介護 1である者に対して,厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(平成11年厚生省告示第93号)(※告示93)第 1項に規定する車いす,同告示第 2項に規定する車いす付属品,同告示第 3項に規定する特殊寝台,同告示第 4項に規定する特殊寝台付属品,同告示第 5項に規定する床ずれ防止用具,同告示第 6項に規定する体位変換器,同告示第11項に規定する認知症老人徘徊感知機器及び同告示第12項に規定する移動用リフトに係る指定福祉用具貸与を行った場合は,福祉用具貸与費は算定しない。また,要介護状態区分が要介護 1,要介護 2又は要介護 3である者に対して,同告示第13項に規定する自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)に係る指定福祉用具貸与を行った場合は,福祉用具貸与費は算定しない。ただし,別に厚生労働大臣が定める者(※告示94・ 31)に対する場合については,この限りでない。
〔算定制限〕
5 特定施設入居者生活介護費(短期利用特定施設入居者生活介護費を算定する場合を除く)又は認知症対応型共同生活介護費(短期利用認知症対応型共同生活介護費を算定する場合を除く),地域密着型特定施設入居者生活介護費(短期利用地域密着型特定施設入居者生活介護費を算定する場合を除く)若しくは地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している場合は,福祉用具貸与費は,算定しない。
(留意事項)
■事業所が離島等に所在する場合における交通費の加算の取扱い(注 1,注 2,注 3)
事業所が離島等に所在する場合における交通費の加算の取扱いは,以下のとおりである。
① 交通費の算出方法について
注 1から注 3までに規定する「通常の事業の実施地域において指定福祉用具貸与を行う場合に要する交通費」の額は,最も経済的な通常の経路及び方法(航空賃等に階級がある場合は,最も安価な階級)による交通費とすることを基本として,実費〔空路で運搬又は移動する場合には航空賃,水路で運搬又は移動する場合には船賃,陸路で運搬又は移動する場合には燃料代及び有料道路代(運送業者を利用して運搬した場合はその利用料)〕を基礎とし,複数の福祉用具を同一利用者に貸与して同時に運搬若しくは移動を行う場合又は一度に複数の利用者に係る福祉用具貸与のための運搬又は移動を行う場合における交通費の実費を勘案して,合理的に算出する。
② 交通費の価格体系の設定等について
指定福祉用具貸与事業者は,交通費の額及び算出方法について,あらかじめ利用者の居住する地域に応じた価格体系を設定し,運営規程に記載しておく。
なお,指定福祉用具貸与事業者は,運営規程に記載した交通費の額及びその算出方法を指定福祉用具貸与の提供に当たって利用者に説明するとともに,当該利用者に係る運搬又は移動に要した経路の費用を証明できる書類(領収書等)を保管し,利用者に対する指定福祉用具貸与の提供に関する記録として保存する。
③ 注 1に規定する別に厚生労働大臣が定める地域に所在する指定福祉用具貸与事業所が複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合の加算限度について
複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合には,保険給付対象となる福祉用具の貸与に要する費用の合計額の100分の100に相当する額を限度として加算できる。この場合において,交通費の額が当該100分の100に相当する額に満たないときは,当該交通費を合理的な方法により按分して,それぞれの福祉用具に係る加算額を明確にする。
④ 注 2に規定する別に厚生労働大臣が定める地域に所在し,かつ,別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する指定福祉用具貸与事業所が複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合の加算限度について
複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合には,保険給付対象となる福祉用具の貸与に要する費用の合計額の3分の 2に相当する額を限度として加算できる。この場合において,交通費の額が当該 3分の 2に相当する額に満たないときは,当該交通費を合理的な方法により按分して,それぞれの福祉用具に係る加算額を明確にする。
なお,実利用者数とは前年度(3月を除く)の 1月当たりの平均実利用者数をいうものとし,前年度の実績が 6月に満たない事業所(新たに事業を開始し,又は再開した事業所を含む)については,直近の3月における 1月当たりの平均実利用者数を用いる。したがって,新たに事業を開始し,又は再開した事業者については,4月日以降届出が可能となる。平均実利用者数については,毎月ごとに記録するものとし,所定の人数を上回った場合については,直ちに第 1の 5の届出を提出しなければならない。また,当該加算を算定する事業所は,その旨について利用者に事前に説明を行い,同意を得てサービスを行う必要がある。
⑤ 注 3に規定する別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して,通常の事業の実施地域を越えて複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合の加算限度について
複数の福祉用具を同一利用者に対して同時に貸与した場合には,保険給付対象となる福祉用具の貸与に要する費用の合計額の 3分の 1に相当する額を限度として加算できる。この場合において,交通費の額が当該 3分の 1に相当する額に満たないときは,当該交通費を合理的な方法により按分して,それぞれの福祉用具に係る加算額を明確にする。なお,当該加算を算定する利用者については,指定居宅サービス基準第197条第3項第 1号に規定する交通費の支払いを受けることはできない。(平 12 老企36 / 平30 老高0322・2等)
■要介護 1の者等に係る指定福祉用具貸与費(注 4)
① 算定の可否の判断基準
要介護 1の者に係る指定福祉用具貸与費については,その状態像から見て使用が想定しにくい「車いす」,「車いす付属品」,「特殊寝台」,「特殊寝台付属品」,「床ずれ防止用具」,「体位変換器」,「認知症老人徘徊感知機器」,「移動用リフト(つり具の部分を除く)」及び「自動排泄処理装置」(以下「対象外種目」という)に対しては,原則として算定できない。また,「自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)」|こついては,要介護 1の者に加え,要介護 2及び要介護 3の者に対しては,原則として算定できない。しかしながら利用者等告示第31号(※告示 94・ 31)のイで定める状態像に該当する者については,軽度者(要介護 1の者をいう。ただし,自動排泄処理装置については,要介護 1.要介護2及び要介護3の者をいう。以下(2)において同じ)であっても,その状態像に応じて利用が想定される対象外種目について指定福祉用具貸与費の算定が可能であり,その判断については,次のとおりとする。
ア 原則として次の表の定めるところにより,「要介護認定等基準時間の推計の方法」(平成11年厚生省告示第91号)別表第 1の調査票のうち基本調査の直近の結果(以下単に「基本調査」の結果という)を用い,その要否を判断する。
イ ただし,アの(二)「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」及びオの(三)「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」については,該当する基本調査結果がないため,主治の医師から得た情報及び福祉用具専門相談員のほか軽度者の状態像について適切な助言が可能な者が参加するサービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより指定居宅介護支援事業者が判断する。なお,この判断の見直しについては,居宅サービス計画に記載された必要な理由を見直す頻度(必要に応じて随時)で行う。
ウ また,アにかかわらず,次の i)からⅲ)までのいずれかに該当する旨が医師の医学的な所見に基づき判断され,かつ,サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具貸与が特に必要である旨が判断されている場合にあっては,これらについて,市町村が書面等確実な方法により確認することにより,その要否を判断することができる。この場合において,当該医師の医学的な所見については,主治医意見書による確認のほか,医師の診断書又は担当の介護支援専門員が聴取した居宅サービス計画に記載する医師の所見により確認する方法でも差し支えない。
i) 疾病その他の原因により,状態が変動しやすく,日によって又は時間帯によって,頻繁に利用者等告示第 31号のイに該当する者
(例 パーキンソン病の治療薬によるON・ OFF現象)
ⅱ) 疾病その他の原因により,状態が急速に悪化し,短期間のうちに利用者等告示第31号のイに該当することが確実に見込まれる者
(例 がん末期の急速な状態悪化)
ⅲ) 疾病その他の原因により,身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から利用者等告示第31号のイに該当すると判断できる者
(例 ぜんそく発作等による呼吸不全,心疾患による心不全,喋下障害による誤廉性肺炎の回避)
注 括弧内の状態は,あくまでも i)~ⅲ)の状態の者に該当する可能性のあるものを例示したにすぎない。また,逆に括弧内の状態以外の者であっても, i)~ⅲ)の状態であると判断される場合もありうる。
② 基本調査結果による判断の方法
指定福祉用具貸与事業者は,軽度者に対して,対象外種目に係る指定福祉用具貸与費を算定する場合には, 1の表に従い,「厚生労働大臣が定める者」のイヘの該当性を判断するための基本調査の結果の確認については,次に定める方法による。なお,当該確認に用いた丈書等については,サービス記録と併せて保存しなければならない。
ア 当該軽度者の担当である指定居宅介護支援事業者から当該軽度者の「要介護認定等基準時間の推計の方法」別表第 1の認定調査票について必要な部分(実施日時,調査対象者等の時点の確認及び本人確認ができる部分並びに基本調査の回答で当該軽度者の状態像の確認が必要な部分)の写し(以下「調査票の写し」という)の内容が確認できる文書を入手する。
イ 当該軽度者に担当の指定居宅介護支援事業者がいない場合にあっては,当該軽度者の調査票の写しを本人に情報開示させ,それを入手する。(平 18 老計0317001等/平30 老高0322・2等) 事業所が離島等に所在する場合における交通費の加算の取扱いは,以下のとおりである。
① 交通費の算出方法について
注 1から注 3までに規定する「通常の事業の実施地域において指定福祉用具貸与を行う場合に要する交通費」の額は,最も経済的な通常のの場合において,交通費の額が当該 3分の 1に相当する額に満たないときは,当該交通費を合理的な方法により按分して,それぞれの福祉用具に係る加算額を明確にする。なお,当該加算を算定する利用者については,指定居宅サービス基準第197条第3項第 1号に規定する交通費の支払いを受けることはできない。(平 12 老企36 / 平30 老高0322・2等)